以前に比べて、オーダースーツはだいぶ一般的な物となってきました。東京でも多くの専門店が登場してきており、流行は拡大傾向にあります。そして、スーツ制作者であるテーラーの腕の良さの見分け方が知りたいという声はかなり多いです。
今回は、オーダースーツにおけるテーラーの腕の見分け方について、ポイントを3つ程述べて行く事とします。
オーダースーツにはフルオーダーとパターンオーダー、イージーオーダーの3種類があります。東京を含めた全てのお店がこの3つの内訳でオーダースーツを扱っていますが、その中でもテーラーの腕が問われるのはフルオーダーになります。
パターンオーダーとイージーオーダーにも、製作者の腕は相応に問われます。どういうイメージでスーツを制作したいのかというポイントを聞き出してみたり、クライアントが使いたい状況に相応しい物を提案出来るか否かは、やはり長年の経験が必要不可欠になります。
季節や年代によって選んだ方が良い物は色々変わって来ますし、流行等もいつも意識しておかないといけません。その辺りを完璧にこなすのは相当難しい作業です。
ただ、スーツの制作段階に入った場合は、パターンオーダーはゲージ服と呼ばれる試着品を基盤としますので、仕上がりに大きい差が出るという事はありません。イージーオーダーに関しても、数百種類ある型紙の中からクライアントにあった型紙を探し出し、それを手直ししていく方式ですし機械を使いますので、大体同じ程度の仕上がりとなります。
その点、フルオーダーは型紙を0から制作しなければいけませんし、クライアントの注文に合わせて随時修正するという作業が入りますので、制作難度はとても高いです。実際、東京においても依頼を受けてくれるお店はある程度絞られてきますので、大体のメジャー所でしたら基本的にテーラーの腕は良いと思って構いません。
その中で差が出て来る部分があるとすれば、制作段階時にどういう対応をしているのかを見るという方法があります。
フルオーダーのスーツはクライアントの注文に合わせた一品物ですが、お店の中には試供品という事で作品群が置いてある事も少なくありません。腕は基本的に良いと考えるとするなら、幾つか専門店を回ってみて、気に入った仕上がりの物が置いてある所を特定するという方法がまず1つです。
他には、スーツ関係がとても好きというのでしたら、テーラーが出品する展示会等に出かけてみるというのも良いですが、どうするにしても、実地で足を運ぶ段取が必要になります。直接手に取ってみない事には何とも言えない部分がどうしても多いからです。
これ以外では、オーダースーツの制作過程の様子をしっかり理解しておく事も重要です。まず、最初のイメージや用途についてのヒアリング段階で丁寧な説明や聞き取りがあるのかをチェックして下さい。良い品を作るには、情報が多い方が良いですし、ヒアリングが上手いという事はその分多くの経験があるとも見なせます。
これは次の生地の選択等についても同様です。場合によっては、パターンオーダーやイージーオーダー等、他の形式の方がクライアントの要望をクリア出来る等のアドバイスを率直にしてくれる事等もポイントになります。
そして中でも重要なのが、仮縫いの段取です。此方の注文によっては修正が必要になる事も多いですが、その時の作業がとても手慣れている様子があるのでしたら、それだけ熟練しているテーラーと見なす事が出来ます。
単純な上手下手だけでは無くて、テーラーとの相性も関係して来ますので、作業工程に好感が持てるかといった点で見るというのも1つです。この点は長く愛好するという面でとても重要になってきます。
東京の専門店では、購入した後にアフターケアという事でメンテナンスサービスが付いている事があります。オーダースーツは一品物ですので、経年劣化した場合等にどの程度メンテナンスしてもらえるかと言った点は重要ですが、こういったサービスが他店で作った物でも持ち込みも可能となっている場合は、利用してみるのも1つの方法です。
肩幅や裾上げといった基本的な部分から、シルエット等まで含めてやってくれるお店等色々ありますが、フルオーダーで作った場合の試しの様な意味で色々な事が分かる事も珍しくありません。事務的な仕事に終始しているのか、それともフルオーダー品を作るのと同じ位丁寧に行っているのかで、フルオーダー品注文時の仕上がりが透けて見える様な事もあります。テーラーが別であるという事も無いではありませんが、その場合もお店全体の方針が色々見える部分ですので、利用しない手はありません。
最後に仕上がりが色々分かれるという意味では、フルオーダーは難度としては高めの注文になります。初心者でいきなり挑戦するというのであれば、余程の下調べか、オーダーメイド品に慣れたアドバイザーの存在が必須です。ですので、もしも自信が無いという場合はパターンオーダーから始めて、イージーオーダーに入るという事で少しずつテーラーの腕が問われる段階に入って行く事をお勧めします。
最もテーラーの腕が問われるのはフルオーダーになります。東京は専門店も多く腕が良いテーラーも多いですが、それぞれの個性で相性が良いか悪いかは出て来ます。なのでヒアリング段階やメンテナンスサービス等を上手く利用しつつ、自分と相性が良い所を探す様にして下さい。その辺に自信が無いというのでしたら、腕の差が出にくいパターンオーダーやイージーオーダーで慣れてから先へ進む方法をお勧めします。